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氷雨の中のチャンピオン(前編)

暦では春とは言っても氷雨が降ってる寒い日に、

何を考えていたのか私は友人達3人と共に標高の高い湖にキャンプに行く事になりました。
 
暗い時間にのそのそ起き出し、家族の目を覚まさせない様に仕度をしていたのですが、

我が家のリビングには鶏入りの段ボール箱3箱、ウサギ、インコ、亀が居ますので、

いきなりの明るさと私の発てる物音で一斉に起きだし、自己主張を始めます。

インコ達はギャーギャー鳴き出しますし、ウサギは餌箱をかじり出します。

特に冬の間夜だけ室内に入れてある鶏は最悪で、

メスのクセに大声を立て始めリビングはさながら小アマゾンの様相を呈します。

「静かにしなさい、まだお前達の起きる時間ではない、女房が起きるだろう。

怒られるのは私なのだぞ」
SF070.jpg

当然のことながら私の言う事なぞ聞くはずはなく、

おそらく目を覚ましているであろう女房と顔を合わせる前に大急ぎで家を飛び出しました。

駐車場に出てルアーなど釣り道具一式とキャンプ道具一式をガチャガチャ、ズリズリ

不器用に引きずりながら車に放り込み、

途中で大きな音を立てて落ちたキャンプ用のフライパンを拾い、コレも放り込みます。

なるべく静かに事を運ぼうと画策していたのですが、

これ以上無いと言うくらいに大騒ぎになってしまいました。

以前も朝早く出かける時、女房に「わざと大きな音を出して私を起こしているんでしょう」

といわれた事が有ります。

「チガウヨ、ソンナコトナイヨ、ゴカイダヨ」

と弁解したのですが信じてもらえませんでした。
SF092.jpg

湖は解禁になったばかりで、冬の魚の釣れない時期にいい加減うんざりしていた私は、

喜び勇んでみんなとの待ち合わせの場所である、湖のある山のふもとを目指し出発したのです。

山の麓までは車で3時間の距離があり、どんよりと曇った低い雲をワイパー越しに見上げながら、

川の土手の真っ直ぐ伸びた見晴らしの良い道を、天気とは裏腹に良い気分で車を飛ばしていました。

その時少し先の道路上に黒い小さな影が見えます。

ゴミ袋かなと思いスピードをゆるめて近づくと、その物体は紛れもなく子犬でした。

車を端に止め、ほとんど雪になっていた雨の中に出て見下ろすと、

ソイツは黒と茶色のまだら模様で、どこからどこを見ても立派な雑種犬でした。

「雑種」と云う犬の種類があったら間違いなく品評会でチャンピオンになっていた事でしょう。

奴は私を見上げ、へらへら笑いながらしきりに尻尾を振ります。

どうやら姿形だけでなく性格も見事に雑種の様で、

その人のよさそうな笑い顔に私もつられて笑いながら抱き上げました。


                   bana05.jpg
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体を触ってみると思ったとおりガリガリに痩せて体温も低くなっています。

私は周りを見渡しました。人家ははるか遠くに2~3軒あるだけで人気はありません。

車もほとんど通らず寂しい場所です。おそらく捨てられたのだと思いますが、

コイツ一匹ではないはずだと思ったので河川敷を見渡しました。

人が出入りできそうも無く薮に覆われています。

しばらく目で探しましたがあきらめて、雪の積もった頭を撫でながら車の中へ引き返しました。

タオルで体を拭いてやりながら、さてどおしたもんかと考えます。

ウチにはすでに非の打ち所の無い雑種のケンがおりますので、2頭は飼えません。

かといってこのまま捨ててしまえば間違いなく死んでしまうでしょう。

「まあいいか、とりあえずキャンプに連れてゆこう」

元来いい加減な私の性格が幸いしてこの雑種のチャンピオンは、

いっしょに車に揺られる事となったのでした。
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途中コンビニに立ち寄りパンと牛乳を買い食べさせます。

既に乳離れは済んでいるらしく、がつがつ食べている姿を見て一安心しました。

体温も正常だと思われるくらいに上昇してきたのでもう死ぬ事はないでしょう。

いったい何時から食べてないのか分かりませんが食べっぷりは見事なものです。

山の麓の蕎麦屋の駐車場で仲間達と合流して子犬を紹介しました。

「コイツはとても良い犬なのだョ。

みんなは知らないとは思うけれど、ヒマラヤの奥地に住む由緒正しいチャンピオンと言う犬種なのだ。

コイツの親は品評会でグランドチャンピオンを取ったのだョ。

だからコイツはチャンピオンのグランドチャンピオンの息子のチャンピオンなんだ。

今日はみんなは運がイイ。

ボクは気分が非常に良いからこのチャンピオンのグランドチャンピオンの・・・・えーと、何だっけ・・・

とにかくコイツを何とタダであげよう。誰かイランカネ」

友人B

「オオ、そいつはすごい、かの有名なチャンピオンのグランドチャンピオンの息子のチャンピオンか!

う~ん、ただ残念だ、右足の先がソイツは白い!

本当のチャンピオンの犬種は左足の先が白くなければならぬ!

でも案ずるな友よ、グランドチャンピオンはムリだがチャンピオン位にはなれる。

末永く可愛がってやるのだぞ」

友人C

「・・・・オマエそいつをどこで拾ったんだ?」

心配性のAが

「ねえ、ところでこの雪なんだけど、平地でコレだから山の上はもっとすごいんじゃない。

遭難しちゃうかもよ」

「大丈夫、ダイジョウブ冬山に比べたらこんなものなんでもないよ」

一度も冬山に登った事のないBが言います

「この寒さじゃあヤマメも釣れないかなあ」と釣りのことしか頭に無い私。

いつも無口なCは「・・・・寒い・・・」

「早く出発しようぜ、これから2時間は山道だよ」

「う~ん、雪がなあ」

「湖が凍って釣れないかも知れないどうしよう」

「・・・・」

と、らちが明きません。結局キャンプ場の管理人に電話をして様子を聞く事にしました

幸い雪は大したことはないらしく管理人の親父は

「ダイジョウブ、ダイジョウブ、もうすぐ晴れるよココの山の事は俺が一番知っている、

心配ない、シンパイナイ」

とまるでBみたいに調子よくしゃべっていました。

私のイメージする山屋は(頑丈な体格で寡黙で髭が生えていて、そして頼りがいがある男。

髭の生えたジョンウエイン)なのですが、この管理人の親父はそれとは正反対のような気がしました。

一抹の不安を覚えながら助手席に元気になってニコニコ笑っているチャンピオンを乗せ、

全員で出発しました。
SF094.jpg

山道はこれが本当の山道だと言うくらいの山道でした。

当然舗装はしてなく、車はすれ違えません。

真っ直ぐな所がないと思えるくらい曲がりくねっています。

ハンドルも絶えず左右どちらかに切っている状態で、

でこぼこの道でお尻がシートに付いていないときは頭が天井に付いているといった有様でした。

私のフェラーリではこの道は大変厳しく

(ちなみに我が家ではマークⅡの事をフェラーリと呼び、

125CCのスズキのスクーターをBMW、

ホンダのスーパーカブ50CCはベンツと呼んで親しんでいます)

しかも車酔いで気持ちが悪くなってきました。子犬はと見ると、なんと寝ております。

助手席の下の足元で、車の揺れに合わせて左右に滑りながら時折少しジャンプしています。

腹が減って、寒くて心細く、ほとんど寝ていなかったと思われます。

こんな揺れる車内で見知らぬオヤジと居ても、コイツにとってココは天国なのでしょう。

こうなっては、もはや保健所に連れてゆくわけにもいきません

、いわゆる情が移ったと言うところでしょうか。
SF095.jpg


さて、車酔いで青くなった私は

フェラーリにチャンピオンを乗せジョンウエインの待つロッジに2時間をかけやっと到着したのでした。 

驚いた事に雪はやみ、空には青空が出ていました。

(うむ、偽ジョンウエインの言った通りになった、第一印象は当てにならぬ)

そんな思いはおくびにも出さず 管理人と会い、受付を済ませます。

「ところでおじさん、ココは良い所ですが、夜なんかは寂しいでしょう」

「ああ、夜は静かでちょっと寂しいかな」

「そうでしょうねえ~。犬なんかいたら楽しいでしょうね」

「そうだねいいかもしれないね」

「ところでコンナ犬を知っていますか?」

私はチャンピオンを片手で持ち上げ、

「この犬はですねえ、

アマゾンの奥の奥に住むチャン族が古来より飼っていたチャンピオンと言う犬種で・・・・」

「お~い、早く荷物を運ぼうぜ」

遠くから友人の声がしたので、やむなく売り込みを中断してしまいました。

こうしてチャンプの就職は又もや失敗に終わったのでした。     つづく


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