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渓谷の猿つづき

0041.jpg
(写真と文は関係ありません。ミドリガメも20年近くたつとこんなになります)


さて、まだ××××を丸出しにしたままの私の横にうずくまる雑種犬も、

おそらくそう長くはないでしょう。私に出来る事は何もしない事なんです。

そろそろ出発しなければなりません。「バイ、バイ」と一声かけて川に戻りました。

もう昼を過ぎているので全然釣れません。

しばらくすると水が流れている幅こそ3~4メートルと狭いですが、かなり広い川原に出ました。

0042.jpg
(写真と文は関係ありません。マメちゃん、噛みます)

まさに渓谷と呼べるように左右の崖が垂直に見上げるほど上に伸びています。

私は鼻歌なぞを歌いながら、この景色を楽しみ、上流へと向かいました。

すると右手の崖の中腹辺りの、かろうじてへばり付いている松の木に何やら動くものがあります。

目を凝らすと猿でした。

「はは、あんな所にどうやって行ったんだろう。すごいなあ」

と呑気に考えて辺りをよくよく見渡した瞬間、ニワトリの如く思考が止まってしまいました。

何十匹もの猿があっちこっちの岩肌やら木やらに座ったり寝そべったり(なんて器用なんでしょう)

しています。どうやら群の真ん中に入りかけていたようです。

「これはヒジョウにマズイ、あんな群れに襲われたら二度と釣りなぞ出来ない体になってしまう」

と少し的外れな事を考えました。私は渓流釣りで出会いたくない物に

1、クマ

2、腐乱死体

3、自分より上手なフライフィッシャーマン

が有りますが、猿の群れもどこかに入れておこうと心に決めました。

なにせ慌てていたものですからまともな思考が出来ません。

気を取り直し、冷静に考える事にしました。

0043.jpg
(写真と文は関係ありません)


対処方

その1、回れ右をして帰る。

その2、気配を消し、周りの風景に溶け込み、

いわいる釣り用語で言う所の、石化け、木化けをして気づかれない様にこっそり通り過ぎる。

その3、「オレは強いんだぞ」オーラを出し、ナイフを手に持ち、何時でも戦える準備をして押し通る。

その4、何事もなかったように振舞い、このまま通り過ぎる。

まず(その1)ですが、かなり沢や崖を上ってきたので引き返すとなると体力的、精神的に

不可能に思われますし、もう群れの中に入り込んでいます。

もう少し上れば狭いながらも、なだらかな道に出られるので、この案は却下。

(その2)見た所どの猿もこちらを見ていません。

ばらばらの方角を見ているのですがこちらだけは誰も見ていないんです。

ひょっとしたら気づかれてないのかな?と思いましたが、

バチャ、バチャ大きな音を立てて群れの中ほどまで水の中を歩いて来たのに、

野生の猿が気づかないはずはなく、わざと目を合わせない様にしているとしか思えません。

それに煩悩のカタマリである私にとって、

無の境地になり気配を消すなぞといった芸当など、とても出来るはずはなく却下。

(その3)即座に却下。と言う訳で、ごくごく自然に振舞い、猿を見ないようにして、

心穏やかに通り過ぎることにしました。

しかしこれはやってみると意外に難しく、

体はガチガチになり右手と右足が同時に出ているんじゃあないかと何度も確認し、

大勢に見られていると思われるので少し赤面して、

これ以上ないと思われるぐらい不自然な歩き方になってしまいました。

幸い猿は利口で、無駄な争いを好まないのでしょう、何事もなく通り過ぎたのでした。

これで十分だろうと思われる距離まで歩き、大きな岩にもたれて「フウ~」とため息をつき休憩します。

やっと人心地がつきました。

ここまで上ってくると川も細く小さくなり、周りの崖も低く、少し薮こぎして登れば、

人がやっと通れるくらいの登山道に出ます。

休んで元気が出た私は、獣道と呼んだ方がお似合いの、

道らしきものを車に向かいながら歩き、先ほどの犬は今頃どうしているんだろうと漠然と考えます。

あの場所は民家から遠く離れていたので、わざわざ死に場所を求めてやって来たのか、

それとも元々人間に飼われていなかったのか分かりませんが

、いずれにせよ猿も犬も動物は逞しく、そして潔良く死んで行く様に私には見えます。

しばらく歩くと、左手の谷底からかすかにギャーギャーと猿の鳴き声が聞こえてきました。

先ほどの群れでしょうか。私は急に我が家の人を含めた生き物達に会いたくなり、

暮れてゆく山道を急ぎ足で下りていったのでした。

0040.jpg
(自作ルアー)

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