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野良鶏のシロ

0033.jpg
(シロです)


ある日出かけようと思い駐車場に出たら、何やら白いものがうごめいています。

見覚えのある動作、覚えのあるかすかな匂い、

白い羽の白色レグホンが早朝のアスファルトを一人で散歩していました。

しばしの間、我々二人は顔を見合わせ駐車場と道路で動かなくなりました。

「そうかそうか、鶏が一人で徘徊するほど世の中はニワトリブームになったか」

と喜びながら近づくと相手は少し逃げます。

明らかに人間に慣れてない様子です。

三軒先に白い鶏を飼っている家があるので逃げ出したのかと思い、訪ねに行きました

「え~と・・・剣四郎ちゃんは・・・居ますか?」

夏休みにカブトムシ採りに友達を誘いに来た小学生みたいになってしまったと、

心の中で後悔しながら相手を見ると、

こんな田舎でも鶏を訪ねてくる人はめったにいないのでしょう、

相手はなんとも表現できない顔をしたので、あわてて事の顛末を説明しました。

「ちゃんといるはずですよ」と言って小屋に案内してもらいましたが、

確かにびっくりしたような顔の白い奴がこちらを見ています。

近くに養鶏場はないし、どこから来たんだろうと思いながら、自宅に帰るともう居ません。

0028.jpg
(ニワトリがいます)


このところ鶏の事を考える日が続いたので、私は夢でも見たのかと思いましたが、

気になって庭を覗いたら居ました!

もう10年も住んでるような顔をして芝生を掘り返しています。

駐車場と庭の境にはフェンスが有るのですが

そんな障害、自由人の彼女にはまったく関係ないのでしょう。

他のニワトリ達もそれほど緊張はしてない様子です。

「まあいいか、一羽ぐらい増えても。気に入らなければ出て行くだろうし」

と何時もの事ながら安易に考え、そのままにして置くことにしました。

これまでにも我が家には、

子持ちザリガニ、クサガメ、子猫2匹、死にかけの雑種犬、陽気なパグ犬

などが迷い込んできた事がありますが鶏は初めてです。

これはひょっとして幸運の前触れか?

と考えたところで仕事で出かけなければいけないことを思い出し、

大急ぎで車のエンジンをかけたのでした。

0030.jpg
(ここにもいます)

仕事を済まし帰宅すると、どうやら我が家の庭が気に入ったらしく

警戒しながらもエサを食べています。

学校から帰って来ていたらしい娘が[シロ、シロ」と呼んでレタスを与えに行きました。

何時から名前がシロになったんでしょう?

それよりも何故白色レグフォンが家に居る事を不思議に思って、父である私に尋ねないのでしょうか。

女房もレタスをピラピラさせて嬉しそうでした。

0029.jpg
(ハトもいます)

私はこの土地では、いわゆるよそ者で知り合いも居ないのですが、

女房は生まれも育ちも地元であり、

地域の事ならインターネットさながらの情報網を持ち、

町会議員並の人脈を有しているので、後日シロの素性が少し分かってきました。

我が家から800メートル程の所の休耕田に、

残土を盛った少しばかり山になっている場所が有るのですが、

そこにシロは住み着いていたそうです。

人が近づくと物陰に身を隠し、何ヶ月かの間、餌もないのに細々と暮らしていたのです。

それ以前の事は分かりません、おそらく誰かが捨てたのでしょう。

人なれしていないので大事には飼われていなかったと思います。

そこまで聞いて私は少し胸がつまり、シロを抱き上げて抱擁しようと思ったのですが、

捕まるはずもなく、頭の中に浮かんだ感動の場面はあえなく消滅したのでした。

0031.jpg
(藤棚の下の住民も迷惑顔です)


我が家の鶏達は夜、鶏小屋の中で眠ります。

勝手にのそのそ小屋に入り込んで止まり木、棚、おのおの好きな場所に陣取ります。

一番良いと思われる場所はもちろんヒヨ様です。

シロは違いました。リビングの前の2メートルほどの高さの藤棚です。

周囲に邪魔なものがあって、一度には飛び上がれませんので、

根元から上を見上げ彼女は考えます。

ルートを見定めると一段づつ枝に乗り、ゆっくり上り始め、

藤棚のお気に入りの枝が見つかると、彼女はそこで一夜を明かすのです。

高い所は彼女にとって一番安全だと思っているのでしょうが、

本当は鶏小屋がもっとも安全なんですけどねえ。

ところで困った事に数日経つと他のニワトリ達がシロの真似をし始めたのです。

一羽づつ順番に藤棚に上り始めます。

まるで、おじさんおばさんの登山のごとく一列に続きます。

なぜ困ったかと言うと、実はこの藤棚には鳩の巣が有りまして、

毎年多いときで2回、2組のカップルが子育てをします。

今のところ巣立ち率は20%と低いのですが、

それでも我々は驚かさないようシーズンになると息をひそめて生活しています。

見上げると藤棚は茶色やら白やら鳩の灰色やら地味ですが大きな塊でいっぱいです。

なにせ私がいい加減に作った棚ですので、その強度は、はらはらする程低く、

毎年台風になると、藤の幹をロープで張り巡らし、

さながら巨大なくもの巣状に補強して鳩の巣が落下するのを防ぐくらいです。

それににわとりのフンにも困まっていて、

リビングから外を眺めているとボタボタ目の前に落下してきます。

粋と風流を愛したい私としてはこれは許せません。

女房と娘も非難の目で私を見るので、

しかたなくニワトリ達の登山ルート上に、いろいろな障害物を置くことにしました。

ジョウロ、使っていないスリッパ、植木鉢、ビン、空き缶、様々な物を藤に縛り、ぶら下げます。

出来がってみるとさすがにニワトリ達は上れなくなりましたが、

藤棚は趣味の悪い巨大なクリスマスツリーの様相を呈し、

粋と風流はますます遠ざかっていったのでした。

0032.jpg
(合成しました)
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